合気道は開祖植芝盛平翁が厳しい武術の修業と精神修養の中から創始し、吉祥丸二代道主がその素晴らしさの普及振興に心血を注がれ、世界へと門戸が開かれました。
昭和6年(1931)に現在の本部道場が創設されてから90余年が経ち、現在、合気道は欧米は勿論のこと、東欧、南米、中南米、東南アジアなどまで約140の国と地域まで広く普及してまいりました。平成24年度より公益財団法人として新たな船出もいたしました。
開祖植芝盛平翁は勝つことを至上目的とする闘争技術としての武術に対し疑問を抱くようになり、「万有愛護」の道として合気道を開きました。
「『闘争のための技術』から『和合のための武道』として、いたずらに力に頼り他人と強弱勝敗を相争うこと以上に人と和する事が大切である。愛は全て気によるもので『円の動き』『入り身』『動中静』『中心』が基になり、相互に技を錬磨するものであり、そこに対立は存在しない。合気道とは『絶対的な自己完成への道』なのです」と説かれています。
開祖の創始された合気道の技法と哲理の素晴らしさは勿論ですが、その合気道を創始するにあたり援助を惜しまなかった父・与六、合気道を正しく後世に伝える為の先達の先見の明、吉祥丸二代道主が開祖の意を汲み合気道の普及振興に心血を注ぎ、その流れを三代目である私が大切に繋いでいる事、これまで多くの方々のお力添えをいただけた事が今日の大きな輪を作りあげている要因だと思います。
今後も開祖の精神である「和合の精神」を大切に、国・人種・宗教の壁をなくし、このすばらしい合気道を一人でも多くの方々にご理解いただけるよう努力してまいる所存です。そして、合気道を通じ、少しでも社会に貢献できる事を願っております。
道主挨拶
歴代道主略歴
明治16年(1883)
12月14日、和歌山県西牟婁郡西ノ谷村(現在の和歌山県田辺市上の山)に植芝與六の長男として出生。
明治41年(1908)
坪井政之輔氏より後藤派柳生流柔術の免許を受ける。
明治44年(1911)
志あって政府募集の北海道開拓民に応募、明治45年(1912)団長として北海道紋別郡白滝原野に54戸の同志を引きつれて移住、土地の開拓に着手する。ここで大東流柔術の武田惣角氏に会い教えを受ける。
大正7年(1918)
押されて上湧別村村会議員に当選。
大正8年(1919)
父危篤のため故郷に帰る。途中京都綾部町に立ち寄り初めて大本教の出口王仁三郎師に会い心を開かれる。大正9年(1920)父逝去後一家京都綾部に移住し、修行道場植芝塾を開設する。
大正末年(1926)
武道の新境地を開く。本格的に「合気の道」と呼称する。
昭和2年(1927)
一家上げて上京、海軍大学校はじめ各所で指導する。
昭和6年(1931)
現在の東京都新宿区若松町に合気道専門道場を建設する。
昭和15年(1940)
公益法人として財団の許可を得る。
昭和18年(1943)
茨城県岩間町に合気神社建立。野外道場で修練を重ねる。
昭和30年(1955)
国内はもとより海外においても合気道の普及発展に力を尽くす。
昭和35年(1960)
合気道創始の功績を以って紫綬褒章を賜わる。
昭和36年(1961)
全国学生合気道連盟会長に就任。
昭和39年(1964)
勲四等旭日小綬章を受章。
昭和44年(1969)
4月26日逝去(86才)。生前の合気道創始の功績とその普及の功により勲三等瑞宝章を賜わる。正五位叙位。
大正10年(1921)
6月27日、合気道開祖植芝盛平の三男として出生。
昭和21年(1946)
早稲田大学政治経済学部を卒業。
昭和23年(1948)
合気道本部道場の道場長に就任。
昭和24年(1949)
合気道本部道場の規則的な日常稽古を開始。
昭和42年(1967)
財団法人合気会理事長に就任。
昭和44年(1969)
開祖逝去により合気道二代道主を継承。全国学生合気道連盟会長に就任。
昭和51年(1976)
国際合気道連盟会長に就任。
昭和61年(1986)
合気道普及発展の功により藍綬褒章を賜わる。
平成2年(1990)
日仏文化の交流に寄与した功績でフランス国政府より、日本人としては初めてスポーツ功労賞金メダルを受賞。
平成4年(1992)
スペイン国のバレンシア工科大学より名誉博士号の称号を授与される。
平成6年(1994)
財団法人日本武道館開館30周年記念式典に於いて、同館の武道普及事業に尽力した功績に対し、感謝状を贈られる。
平成7年(1995)
勲三等瑞宝章を受章。
平成11年(1999)
1月4日逝去。日本国政府より正五位叙位。財団法人日本武道館理事その他多くの要職を務めた。
昭和26年(1951)
4月2日、合気道二代道主植芝吉祥丸の次男として出生。
昭和51年(1976)
明治学院大学経済学部を卒業。
昭和60年(1985)
財団法人合気会専務理事に就任。
平成8年(1996)
財団法人合気会理事長に就任。
平成11年(1999)
二代道主逝去により合気道道主を継承。国際合気道連盟会長に就任。
全国学生合気道連盟会長に就任。
平成16年(2004)
東北大学の特別講師に就任。(2016年退任)
平成18年(2006)
ブラジル国のアンシェッタ勲章を受章。
国際武道大学の名誉客員教授に就任。
平成21年(2009)
ロシア大統領友好勲章を受章。
平成22年(2010)
皇學館大學の特別招聘教授に就任。(2017年退任)
平成24年(2012)
公益財団法人移行に伴い公益財団法人合気会理事長に就任。
スペインのバレンシア大学の金メダルを受章。
平成25年(2013)
合気道普及・振興の功により藍綬褒章を賜わる。
令和7年 (2025)
合気道普及・振興の功により旭日小綬章を賜る。
公益財団法人日本武道館理事、国際武道大学評議員、その他多くの要職を務める。